小久保よしあき氏(ボイトレエンタメユニットBRIDGE はる先生)からSVCライセンスを付与された、科学的ボーカルコーチの“ボイトレ王子”こと、エレ様です。
SVCのライセンスを取得する際に、ウン十万円掛けて学んだ全知識、いやそれ以上の情報を、こうやってコラムとして無料での公開に踏み切りました!
歌には、様々な音程装飾のテクニックが存在します。
もっとも有名なテクニックがビブラートだと思いますが、他にもフェイク(riff & runsやリッキング、メリスマと呼ばれたりもします。)
2種類のヒーカップ
フレーズの語尾を裏声にしゃっくり上げたり、逆にフレーズ冒頭で裏声から実声に変えるテクニックをヒーカップと言います。
フレーズの語尾バージョンと冒頭バージョンではやり方が異なるのですが、ややこしいことに何故かどちらもヒーカップと呼ばれています。
語尾バージョンはロック系のシンガーや、実は意外とアイドルも多用し、冒頭バージョンは「切なさ」を表現できるのでバラード等で効果的に使用されているのをよく耳にします。
因みにヒーカップとは「しゃっくり」という意味で、ロカビリーというロックの元祖的ジャンルで使われ始めたのが起源です。
フレーズ語尾Ver.のヒーカップ
フレーズ語尾Ver.のヒーカップと言えばこの人、B’zの稲葉さんです。
1:06〜「なんか一つだけ足りな〜い」の語尾「い」を裏声にしゃっくり上げていますよね?
アイドル系もよく使う技術なので、YOASOBIの曲『アイドル』ではイクラちゃんも意識して使っているわけです。
余談ですが、ヒーカップを紹介するにあたり改めて稲葉さんの映像をたくさん見たのですが、我々の頭に残ってる印象ほどはしゃくりあげていないな…という感想を抱きました。
モノマネされる人達が誇張するので、もしかしたらそっちの方が印象に残っているのかもしれません(;’∀’)
フレーズ冒頭Ver.のヒーカップ
フレーズ冒頭Ver.で紹介させて頂くのは、緑黄色社会の長尾さんです。
「私あなたの前ではずっと笑って それ以外の顔出せなかった」の「私」「それ」の部分ですね。
この『またね』という曲は、出だしからいきなりヒーカップで始まるのが印象的です。
いかがですか?切なさの極みですよね…。
裏声が出せることが前提
裏声が出せませんという人は、先ず裏声の練習をしましょう!
YUBAメソッドで有名な「フクロウの泣き真似」が有効です。
自分にとってやや高めくらいの音域で、「ほーほー」と息混じりに発声してみましょう。
慣れてきたら高音域の裏声「ほー」の後に、低音域で「あー」と地声を出してください。
この裏声「ほー」の後に地声「あー」を交互に繰り返す練習をすると、裏声の筋肉(輪状甲状筋)がより強化されていきます。
語尾Ver.ヒーカップのアドバイス
これはもう、早い話がヨーデルの応用です。
地声トーンから素早く裏声にしゃくり上げるだけですので、裏声さえ出せればそんなに難しくは無いと思います。
割りと大げさに高い音までしゃくり上げるくらいが、むしろ丁度良かったりします。
ただし注意すべきは、使い過ぎ厳禁です。
それほど難しくないテクニックだけに、ついつい多用しがちです。
ビブラートやフェイクもそうですが、音程装飾は多用しすぎると「くどい」歌になりやすいので気を付けましょう。
冒頭Ver.ヒーカップのアドバイス
難易度的には、冒頭バージョンの方が難しいです。
これも思い切ってたっぷりと息を流しながら、声門が完全に閉じる前に声を出すことで、裏声のニュアンスを入れながら声門を閉じて素早く実声に変えます。
いきなり歌詞で難しい場合は、「はひふへほ」のハ行で練習してみると難易度が下がりやり易いです。
これが出来ると劇的に表現力が上がり、バラードに切なさが増すので是非とも習得したい技術です。
まとめ
ヒーカップには、語尾バージョンと冒頭バージョンの2種類があることがお判りいただけたと思います。
どちらも裏声必須のテクニックですので、裏声が出せる必要がります。
語尾バージョンは裏声さえ出せればそれほど難しくないですが、冒頭バージョンは少し難易度が高いの、でたっぷりと息を流すことを心がけてください。
どちらも習得できれば曲の表現力が爆上がりですので、積極的に取り入れてみてくださいね!