小久保よしあき氏(ボイトレエンタメユニットBRIDGE はる先生)からSVCライセンスを付与された、科学的ボーカルコーチの“ボイトレ王子”こと、エレ様です。
SVCのライセンスを取得する際に、ウン十万円掛けて学んだ全知識、いやそれ以上の情報を、こうやってコラムとして無料での公開に踏み切りました!
ベタ中のベタですが、「ミックスボイスが上手い歌手は?」と聞かれて真っ先に思いつくのがこの二人。
- 男性だとスピッツの草野マサムネさん
- 女性だと宇多田ヒカルさん
こちらの記事では、そんな二人の逸話を交えながら、改めてその凄さを紹介させて頂きます。
ミックスボイスで歌えるようになりたい人にとって、参考になるかもしれません。
草野マサムネのミックスボイス
ミックスボイスが歌い歌手という話題になった際に必ず名前が挙がるのがスピッツの草野マサムネさんです。
マサムネさんの特徴としては、本当にどこまでが地声でどこからが裏声なのか全く分からないことが挙げられます。
極端な裏声トーンと言えば、『ロビンソン』の「ル〜ララ〜」部分くらいしか思い付かないもんなぁ…。
また、良くも悪くも大げさな抑揚を付けず、比較的ナチュラルな表現で歌うので、ミックスボイスのお手本としては打って付けです。
マサムネさんの逸話としては、元々の地声が高いうえに※天然のミックスボイスというものがあります。
ラジオ番組『SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記』にてこのように話されていたようです。
「俺はトレーニングとかっていうよりは、元々生まれついて、こういうちょっと高めの声なんですけども…例えばさ、寺尾聰さんの『ルビーの指輪』とかはさ」というと、その場で『ルビーの指輪』を弾き語りし「あなた~を失ってから~ら~ら~…出ないんだよ、このLow-Gが」とコメント。
https://coconutsjapan.com/entertainment/spitz-kusanomasamune-myfirststory/62655/
地声が高いので低音域はそれほど出ないと言いたいのでしょうが、Low-G(G2)なんて低すぎてそうそう使いません。
割と近年のアーティストの曲だと、back numberの『HAPPY BIRTHDAY』がそれより低いLow-F#(F#2)を使っていますが、それくらいではないでしょうか。
皮肉なもので、一生懸命努力して手に入れたミックスボイスより、元々ミックスボイスで歌える天然ミックスの方がクオリティーが高いのが一般的です。
男性でミックスボイスを習得したい人は、草野マサムネさんの発声をお手本にすべくリピートして聴きましょう!
宇多田ヒカルのミックスボイス
宇多田ヒカルさんは、女性のミックスボイス代表として語られることが多いです。
またミックスボイスだけでなく、「歌が上手い歌手」のランキングでも名前が挙げられることが多いですよね。
宇多田ヒカルさんも草野マサムネさん同様、比較的ナチュラルな表現で歌うシンガーですので、やはりミックスボイスのお手本として相応しいと言えます。
それは、宮迫が宇多田ヒカル主催の花火大会を屋形船から楽しむ会に参加した時の事。数々のミュージシャンも顔をそろえ、GLAYのTAKUROがギターを弾いてそれぞれ持ち歌を披露することとなった。プロの歌手とはいえ、花火がバンバン打ち上がる騒々しい状態である。宮迫もユニット・くずの楽曲を歌ったが声が通らなかった。
最後は宇多田ヒカルが歌うことになり、彼女が「じゃあ、『First Love』を…」と選曲した。周囲は「花火が上がる中であの静かな出だしが聞こえるわけがない」と心配したが、彼女が歌い出すと驚いた。一番端にいた宮迫はギターの音さえよく聞こえないのに、その歌声が「『最後のキスは…』の低音の歌い出しから、まるで真横で歌っているように聞こえた」という。
https://www.excite.co.jp/news/article/Techinsight_20140710_92550/
この逸話、宮迫さんが改めてYouTubeで話されているのですが、私自身も新たに知った新事実として、なんと「マイクを使っていなかった」ってことなんです。
宇多田ヒカルの特徴の一つとして、決して声を張るわけでも無いのに、しっかりと通る声である点が挙げられます。
これはフロントバウル(前母音)と呼ばれる発音の仕方を利用し、舌を前の方で発音することにより、通る声を生み出しているわけです。
この発音のし方は、声のキラキラした成分が増えることで明るい響きになり、マイク乗りもいいです。
母音の性質については、下記添付の記事で説明しています。
女性でミックスボイスを習得したい人は、宇多田ヒカルさんの発声をお手本に聴いてみると参考になると思います。
ミックスボイスは韓国人シンガーが最も参考になる
ミックスボイスは正直なところ、日本人より韓国歌手の方が参考になります。
YouTubeで「韓国 カバー」とかで検索して頂くと、韓国シンガーによるJ-POPカバーが出てきます。
日本人はボイトレを受けなくてもデビューできる人がほとんどなのに対し、韓国の歌手はデビュー前にみっちりとボイトレを受けています。
ミックスボイスが発声出来なければ、そもそも歌手デビューへの扉が開かれないわけです。
BTSのような世界的アーティストも輩出し、日本の音楽業界も韓国アーティストが席巻している事実も頷けます。
更に韓国シンガーの発声には、ある驚くべき特徴があります。
それは、※シンガーズフォルマントと呼ばれる『鳴りの成分』が顕著に現れることです。
韓国人シンガーの歌声って、「ビー」っていうブザーみたいに聴こえる成分が強烈に鳴るんでよすね。
このブザーのような強烈に鳴る成分こそが、シンガーズフォルマントというわけです。
マイファスやSaucy Dogといった、ハイトーン系のシンガーがよく強調して鳴らします。
究極のミックスボイスを目指したいという人は、韓国シンガーの歌声を積極的に聴いてみるといいかもしれません。
まとめ
「ミックスボイスと言えばこの二人」と言っても過言ではない、スピッツの草野マサムネさんと宇多田ヒカルさん。
更には、韓国シンガーの凄さまでお判り頂けたのではないでしょうか?
天然ミックス・フロントバウル・シンガーズフォルマントといった特徴が挙げられました。
これからミックスボイスを習得したい人は是非、今回紹介したアーティストの発声を参考に練習してみてくださいね。