ELEGANT VOICEとは、鹿児島にてミックスボイスをはじめ、「高音」に特化した発声技術を指導している、ボイトレ専門教室です。
科学的根拠に基づいた世界二大ボイトレ・メソッドを駆使したレッスンが、最大の特徴と言えます。
指導者は、鹿児島初のSVCライセンスを取得した公認ボーカルコーチ「エレ様」です。

2025年2月28日、ゆうり様(20代 男性)の体験レッスンを実施させて頂きました。
無料体験レッスンを廃止して、3,000円の初回体験レッスンとなった記念すべき一発目でした。

お陰様で体験レッスンが大盛況でして、3,000円だけ徴収させて頂く運びとなりました。
ゆうり様のカウンセリング内容
他スクールでは、どのようなレッスンを受けていたのか伺ったところ…
- 地声と裏声の境目を無くすサイレン・エクササイズ
- 風船を膨らますことで肺活量を鍛えるエクササイズ
- ストローで水の入ったペットボトルを吹くエクササイズ(SOVTを狙っている?)
ザっとまぁ、このような練習をされていたようですが、これらが科学的に有効なのかどうかを軽く解説してみます!
サイレン・エクササイズ
サイレン・エクササイズとは、低音から高音までをサイレンのように滑らかに繋ぐことで、地声と裏声の境目を無くすことを目的に行われるエクササイズです。
※但し注意点があり、「声門閉鎖を養った上でおこなわれていれば」の話なのです。

音声学的に、地声はモーダルレジスタ、裏声はファルセットレジスタと、全く違う声帯振動パターンであることが解っています。
また、地声の声門閉鎖率が強いことに対して、裏声の声門閉鎖率は弱いことが解っております。
よって、ここにテコ入れせずに地裏を繋ごうとしても、いつまでも繋がらないのです。

風船エクササイズ
肺活量を鍛える為に風船を膨らますトレーニングをおこなっていたとのことでしたが、残念ながら肺活量は直接的に歌には影響を及ぼしません。

ペットボトル・エクササイズ

水の入ったペットボトルをストローで吹くエクササイズですが、科学的にはセミ・オクルーディッド・ボーカル・トラクト(略してSOVT)と呼ばれ、声帯の負担を軽減した状態で発声ができることが証明されています。
ただ大切なのは、本当に科学的なSOVTの効果を理解した上で狙っていたのか?という点です。


お話を伺っている限り、これも肺活量を鍛える為におこなっていたように聞こえました…。
体験レッスンの内容
では、果てして上記ボイトレの効果が良い方向に現れているのかどうか?実際に声を聴いてみた結果は…
Mum(マン)の発音×5トーンスケールでアセスメントさせて頂いた結果、ボイスタイプとしては「本人の申告通り」フリップ型でした。

地声から裏声にポッキリと折れてしまう状態です。安全性の面では裏声に力を逃がせている分、プルチェストと比べると幾分マシと言えますが、プルでも最終的には地声の限界に到達することでフリップします。
ご本人様にフリップである旨を説明させて頂きました。

因みに高音はG5辺りまで出たので、音域的には私エレ様と同じくらいです。
「自己申告通り」というのは、実は体験レッスン前に記入いただいた事前アンケートの結果に、「地声と裏声の境目がある」と書いてあったのです。
この場合、可能性としてはフリップ以外に※プルチェスト等も考えられるのですが、あくまで「アセスメントの段階では」(この後の展開の伏線です)プルしていませんでした。

地声を無理やり張り上げて発声している、とても危険な状態です。音程はフラット(下がる)傾向にあり、声帯にかかる負担も大きく、いかんせん歌っていて苦しい、ポリープや声帯結節といった故障のリスクも高まります。
先ずは手始めにNay(ネイ)×オクターブスケールを処方したところ、A4(4番目のラ)でフリップしてしまいました。
これはハリウッドでセカンドブリッジと呼ばれる音域(2回目のミックスボイス音域)です。

1st Bridge、2nd Bridge、3rd,、4th…の部分が、いわゆるミックスボイスで歌うべき音域です。
地声と裏声が切り替わるエリアであり、そのエリアは一つではなく複数存在するということです。
注意すべきは、女性にあるミドルボイスと呼ばれるレジスターが男性には存在しないという点。
男性は女性に比べてチェストボイス(地声)の音域が圧倒的に広く、高音域側の音域が狭い為、地声音域と裏声音域の真ん中に該当するミドルボイス音域が存在しないというわけです。

純粋にフリップするにしては少し高いので、ここで「アレ?」と思いました…。
ここでご本人様に話を伺うと、「元々はプルだった」とのこと…やっぱり!!!

これ実は「ボイトレあるある」なんです!プルを改善した結果としてフリップが生まれ、そこから脱却できずにいる。
そこで発音はNay(ネイ)のまま、オクターブスケール(音階)のトップノートに向けてデクレッシェンド(段々小さく)するように指示しました。
ここでスケールはオクターブのまま、試しに発音をMy(マイ)、Gay(ゲイ)と展開してみましたが全く問題なし!
とても上手なのでスケールをオクターブリピートに変更しましたが、しっかりとミックスボイスをキープされていました。
まだまだ完ぺきではないものの、スケールの中ではミックスボイスを発声することに成功していたことを受けて、実際の楽曲ではどうなるのか?
レッスン最後に『ドライフラワー』を歌ってもらい、確認してみました。

これは私エレ様が鍛えることで、間違いなく凄まじいシンガーへと変貌を遂げます。
ドライフラワーのキーを3つ下げると、wacciの『別の人の彼女になったよ』と同じくらいになります。
実際、様自身も『別の人の彼女になったよ』は歌いやすい曲と仰っていました。

自身の(現時点での)適正キーを把握されていて素晴らしいですね!
総括
ゆうり様 (20代 男性)のボイスタイプですが、ご本人様の認識の通りフリップ型でした。
ですが元々はプルだったこともあり、ちょっとしたことで声帯が分厚い方向に傾きがちです。
これからELEGANT VOICEで科学的な発声練習を反復していくことで、徐々にミックスボイスの声帯振動をキープできるようになっていきますよ!