小久保よしあき氏(ボイトレエンタメユニットBRIDGE はる先生)からSVCライセンスを付与された、科学的ボーカルコーチの“ボイトレ王子”こと、エレ様です。
SVCのライセンスを取得する際に、ウン十万円掛けて学んだ全知識、いやそれ以上の情報を、こうやってコラムとして無料での公開に踏み切りました!
ミックスボイスとベルティングって、どうやって聴き分けるの?って疑問を持っている人は非常に多いです。
ちなみに以前、別の記事で既にミックスボイスとベルティングの違いについては解説しています。
そこでこの記事では、それぞれの簡易的な聴き分け方について解説して行きます。
そもそもミックスボイス・ベルティングとは?
ミックスボイスとベルティングの聴き分け方をお伝えするその前に、そもそもミックスボイスとは何か、そしてベルティングとは何かを簡単に説明いたします。
ミックスボイス
ミックスボイスは一般的に、「地声と裏声の中間の声」といった認識をされているかと思います。
ですが、厳密に言えば「地声と裏声の中間の声帯振動パターン」なのです。
その振動は平行な状態で行われます。
ベルティング
ベルティングとミックスボイスとの違いとしては、ミックスボイスが直接、声帯の筋肉をコントロールするのに対して、
ベルティングは、あくまで間接的に声帯へと働きかけるということです。
声帯を短縮することで高音を出します。
ミックスボイスかベルティングかは裏声と地声のトーン差で判別
ベルティングには『エスティル基準のベルティング』と、『世間一般的にベルティングと称されるモノ』の2種類があります。
EVTエスティルボイストレーニングとは、イタリア系アメリカ人ジョー・エスティル氏(1921~2010)が確立した、科学的なボイストレーニングメソッドです。
25年以上にわたる研究に基づいたメソッドは、今では世界中の舞台人から頼りにされています。EVTメソッドは、他の発声方法を否定するものではなく、「声のコントロールのためのフィギュア」と呼ばれる発声に関わる器官の働きとコントロール方法を学ぶものです。これらはEVT独自のもので、最新の研究でアップデートが続けられています。日常的なエクササイズを通して各器官のコントロール方法を学び、様々なジャンルやスタイルに対応する事が出来る、6種類のヴォイスクオリティーを習得する事も出来るようになります。
https://arttherapy.co.jp/estill/
こちらが先ほど、「そもそもミックスボイス・ベルティングとは?」の項目で説明した基準です。
エスティル基準のベルティングは、ボイトレのプロでも聞き分けが難しいので、今回は「上記両方の概念をひとまとめにしてベルティング」と定義させて頂き、ミックスボイスとの聞き分け方を解説することに致します。
下記で具体例を挙げて解説しますが、先に注意点として、レコーディングされた音源では判りづらいので、なるべくライブ音源で判断しましょう。
因みに余談ですが、逆にレコーディングされた音源よりライブの方が上手く聴こえるシンガーっているじゃないですか。
あれって、良くも悪くも音源では聴きやすく加工されてるので、ベルティング傾向の歌手ほど、ライブの方が圧巻なんですよ!
ミックスボイスの場合(Uru)
例えばUruの裏声って、裏声だけど地声に馴染んでいて、あまり裏声の印象って強くないですよね?
左の画像はUruの公式YouTubeから切り抜いたものですが、コメント欄にご注目ください。
これがミックスボイスの特徴です。
ベルティングの場合(back number・優里)
back numberとか優里の裏声って、ハッキリと『裏声!』って印象ないですか?
例えばback numberの『ハッピーエンド』サビ、「それだけ言ってキスをして」の「てキスをして」部分とか、優里の『ベテルギウス』サビ(大サビ除く)、「僕ら見つけあって」の「け」部分などです。
優里がカラオケで熱唱している際の画像を、ご覧ください。
マイクの距離が、離れていることが確認できます。
純粋なミックスボイスでここまでマイクを離してしまうと、いわゆる「オフマイク」の状態にになってしまう可能性が高い(厳密には、マイクの入力レベルによりますが)です。
注意すべきは、プロシンガーの中にも地声を無理やり張り上げた、プルチェストと呼ばれる「決して褒められた発声状態ではない人」もいます。
プルチェストかベルティングかを聴き分けるのは、専門家の耳でないと(専門家の耳「でも」)難しいです。
また、今回ご紹介した聴き分け法は、あくまで「簡易的なモノ」であることをご理解ください。
まとめ
地声と裏声のトーンの差を余り感じない人はミックスボイス、逆にハッキリと差を感じる人はベルティングです。
そんな感じで皆さんも是非、聴き分けてみてください!
ただし注意すべきは、地声と裏声がはっきり分かれていてもベルティングではなく、単なる地声を張り上げたプルチェストの人もいますので、そこだけ念頭にしっかりと置いておいてくださいね。