小久保よしあき氏(ボイトレエンタメユニットBRIDGE はる先生)からSVCライセンスを付与された、科学的ボーカルコーチの“ボイトレ王子”こと、エレ様です。
SVCのライセンスを取得する際に、ウン十万円掛けて学んだ全知識、いやそれ以上の情報を、こうやってコラムとして無料での公開に踏み切りました!
「喉絞め」という表現、確かによく聞きますよね。
実際、私もよく言われました…ですがこれ、非常に抽象的で曖昧な表現なのです。
この記事では、「喉を絞める」という表現に関して、私なりの解釈を述べさせていただきます。
「喉絞め」の種類
※これはあくまで私個人の解釈ですが、「喉絞め」と言われる状態には、いくつかの種類があります。
- 喉頭(のど仏)が無意識に上がっている
- 正門の閉鎖が過剰
- 呼気が強すぎる
- 声帯筋が分厚すぎる
これらの症状に対して、「喉を絞めている」と表現されることがあるように感じます。
それでは上記4つについて、詳しく解説していきます。
喉頭(のど仏)が無意識に上がっている
私の経験上、喉頭(のど仏)が高すぎる状態で発声していると「喉絞め」と言われる確率が最も高いです。
ハイラリンクス、通称ハイラリと呼ばれる状態です。
この状態ですと、声道(声帯から口先までの間の空間)が狭くなってしまう為、豊かな響きが損なわれてしまいます。
ですがこれはあくまで「無意識に」喉頭が上がっているという所がポイントです。
※ベルティングと呼ばれる、※ミックスボイスより力強い発声法では喉頭を上げる必要があります。
喉絞めはあくまで、音域が上がっていくにつれ勝手に喉頭も上がっていき、詰まったような声になったり、金切り声になったりする状態だと捉えてください。
正門の閉鎖が過剰
正門閉鎖が強ければ強いほど、シャウティー(叫んだような表現)になるので、ロック感が増したトーンになります。
もちろん、あえて狙ってシャウトするなら良いのですが、クリーンなトーンを指導するボイトレのレッスン中にシャウトされたら、「喉締め」と言われてしまうかもしれません。
この場合、厳密には絞めているのは声門の閉鎖である為、「喉」を指すのは少し違和感を覚えますが…。
因みに、逆に閉鎖が弱すぎたら「ウィスパーボイス」になってしまうので、これも注意が必要です。
呼気が強すぎる
吐く息の量が多く、呼気圧にあよった発声を行っている場合にも、「喉絞め」と言われる可能性があります。
基本的に、発声に呼気圧はほとんど必要ありません。
驚かれる方も多いのですが、「強い歌声」や「大きな声量」を出すのに呼気は不必要なのです。
詳しくは下記で紹介する記事で説明しています。
呼気に頼って声量を稼ごうとする癖がある人は、「喉絞め」と言われてしまうかもしれませんので注意しましょう。
声帯筋が分厚すぎる
声帯筋は、正確には甲状披裂筋(TA)と言い、声帯そのものを司る筋肉です。
この声帯筋は厚くしたり薄くしたりコントロールできるのですが、この筋肉が分厚すぎる状態で発声すると、高音域に上がっていくことが出来ません。
高音域に上がっていけないほど、声帯筋が分厚い状態で発声していると、「喉絞め」と言われてしまう可能性が高いです。
まとめ
喉絞めについて、私なりに考察してみました。
因みに、私ならこんな抽象的な表現は避けて指導しますが、もし自分が通っているボイトレ教室で指摘されてしまった際は、その先生に直接「具体的にはどのような状態ですか?」と聞き返すのが確実です。
個人的には、あまり抽象的な表現が過ぎるボイストレーナーから指導を受けるのは、お勧めしません。
具体的な指示を求めても曖昧な答えしか返ってこない場合は、先生を変えることを検討してもいいかもしれませんね。