小久保よしあき氏(ボイトレエンタメユニットBRIDGE はる先生)からSVCライセンスを付与された、科学的ボーカルコーチの“ボイトレ王子”こと、エレ様です。
SVCのライセンスを取得する際に、ウン十万円掛けて学んだ全知識、いやそれ以上の情報を、こうやってコラムとして無料での公開に踏み切りました!
(※2023年11月4日追記)
「にだいめも歌いましょう」というブログを運営する夏夫ハチさんが、この記事に対する反論記事(『kissmusicを論破!?』)を書かれていることを確認したため、その反論記事に対するアンサー記事を公開いたしました。
(※2024年9月17日現在、上記記事並びに「にだいめも歌いましょう」のブログアカウントごと削除されていることを確認した為、リンクを解除しました。)
ボイストレーナーが詐欺呼ばわり
世の中に、「ミックスボイス否定派」の人間が一定数存在するのは、致し方ないことです。
ですが、もうこれ以上は見過ごせない人物が一人いるので、思い切って記事にしました…KISS MUSICという、自称「世界初のポップス専門ボイトレスクール」で代表を務める Dr.Hこと平山氏です。
彼のホームページやYouTubeでの発言の数々に関してですが、流石に目に余ります。
こちとら科学的根拠を基に指導してるってのに、商売あがったりです。
KISS MUSICの主張
https://kissmusic.net/one/mixvoice/
https://kissmusic.net/one/mixvoice/
Dr.Hこと平山氏の主張を要約すると
とまぁ、Dr.Hの主張を要約すると、こんな感じです。
あくまで、ミックスボイスが世間に認知され始めたのが2000年頃であって、その遥か昔からミックスボイスという発声自体は存在しています。
残念なことに、KISS MUSICの口コミ・評判を調べると、信用している人達も一定数、見受けられます。
ミックスボイスの科学的な定義とは
KISS MUSICの平山氏曰く、「ミックスボイスはオペラの発声」らしいですが…科学的にミックスボイスは、次のように定義されています。
基本的に、『ミックスボイス=ミックスレジスタの声帯振動パターン』のことであると。
「声帯形状が平行に振動する状態が、いわゆるミックスボイスである」と、2014年にインゴ・ティッツェ博士が発表しています。
インゴ R. ティッツェは言語科学者であり、国立話し言葉センターの事務局長であり、ソルトレークシティのユタ大学の耳鼻咽喉科/頭頸部外科の非常勤教授です。彼はまた、同じくユタ大学のサマーヴォコロジー研究所でも教鞭をとっています。彼はアイオワ大学のコミュニケーション科学と障害の特別教授であり、人間の声に関する数冊の本を執筆しています。
https://academic-accelerator.com/encyclopedia/jp/ingo-titze
つまり厳密には発声法ではなく、あくまでも声帯振動なのです。
(※2023年11月6日追記)
ですが、この声帯振動は訓練により身につけることが出来るので、あくまで便宜上、「技術・発声技法かのように」説明する場合もあります。
速い話、発声技法かのように説明した方が伝わると思った場合は、発声技法的に説明するわけです。
Dr.HがKISS MUSICについて、「我々が指導するのはボイトレではなく、BEAMです!」って言いながら、「世界初のポップス専門ボイトレ」って言ってるのと同じですよ。
李庸學氏がミックスボイスを確固たるモノへ昇華
実際、ミックスボイスに関する論文を発表されている医師兼・ボイストレーナーでもある李庸學(りようがく)先生だって、「ミックスボイスは声区、よってテクニック(発声技法)のように語るのは間違い」だと前置きしたうえで、「声区だからこそ、誰でも出せます」とおっしゃていますからね。
(※)よって、私が執筆した記事では便宜上、ミックスボイスを発声技法かのように捉えた「発声できる」という表現と、声帯振動として捉えた説明が混合することを、予めご認識した上で、読み進めて頂くようにお願い致します。
発声技法というよりも、厳密に言えば声帯振動である為、オペラだろうがロックやポップスだろうが、同じベクトルで語ることが出来るというわけです。
「厳密に言えば」という枕詞がポイントです、これは発声技法かのように捉える場合もあるので、その為の布石です。
発声技法の話をするなら全然違います。声楽のベルカントと、ロックのシャウトが同じなわけありません。
ミックスボイス歌唱を公言するASKA
「ミックスボイスで歌う歌手など存在しない」なんて断言をしたKISS MUSICの平山氏は、大きなしっぺ返しをくらっています。
CHAGE and ASKAのASKAが、テレビ東京の番組で倖田來未と対談し、はっきりと公言したのです。
「ある日、風邪を引いてひょんなことで覚えた歌い方がある。リハーサルで力を抜いて歌っているのにポンッと声が出た。」
「この歌い方を忘れないようにしようと、夜寝ている時も夜中に起きてやってみて、まだ出てると確認。朝起きてもやれた、リハーサルもやれた、翌日の本番もやれた。」
「それが結局、ミックスボイスだったんだよ」と。
倖田來未は自身の発声について、下記のように語っていました。
「間違ったやり方で喉を酷使してきた影響で、33歳から急に声が出なくなった。」
「そこからボイトレを始めたら意味があると体感して、7~8年経つ。」と、語っていました。
因みに倖田來未の発声は、フリップと呼ばれる状態です。
ボイトレを受けず、しかも2000年以前にデビューしたASKAが、コンサートでもミックスボイス歌唱を披露していると、はっきり公言されました。
CHAGE and ASKAのデビューは1979年なので、余裕で2000年以前ですし、対談で「ボイトレは受けていない」と断言しています。
ASKAの公言により、平山氏の発言が完全に覆されてしまったなぁ…。
まとめ
ミックスボイスは詐欺でもなんでもなく、現にASKAのように公言されている歌手が存在します。
歌手になるような歌の才能に恵まれた人は、生まれつきミックスボイスで歌えてしまう「天然ミックス」とか、ひょんなことからミックスボイスを自力で習得してしまう人が多いです。
長い歌手人生を考えたら、力を抜いてミックスボイスで歌う方が、遥かに故障のリスクを減らせます。
ですが、ミックスボイスは独学で習得が難しいのもまた事実です。
その為に、我々のような科学的ボーカルコーチが存在するわけですから、行き詰まった方は安心してレッスンをお申し込みください!