SVC公認ボーカルコーチの“ボイトレ王子”こと、エレ様です。
鹿児島でボイトレ教室『ELEGANT VOICE』を運営する傍ら、歌に関する様々な記事を、時に科学的に、また時にエンタメ的に執筆しています。
SVCのライセンスを取得する際に、ウン十万円掛けて学んだ全知識、いやそれ以上の情報を、こうやってコラムとして無料での公開に踏み切りました。


「ふきだし」アイコンがこちら。
(※2023年11月4日追記)
「にだいめも歌いましょう」というブログを運営する夏夫ハチさんが、この記事に対する反論記事(『kissmusicを論破!?』)を書かれていることを確認したため、その反論記事に対するアンサー記事を公開いたしました。




「歌手がミックスボイスで歌っている」という主張はナンセンス?
「メジャーアーティストがミックスボイスで歌っているという主張はナンセンス」
と豪語する、迷惑系YouTuberの元祖みたいな元プロデューサーが存在するので、我々のような科学的ボーカルコーチは本当に迷惑を被っています。
KISS MUSI代表である、 Dr.Hこと平山氏です。
結論から言います、決してそんな事実はありません!!!
実は以前、『CHAGE and ASKAのASKAがミックスボイス歌唱を公言した』という記事を、既に公開しております。


「ボイトレを受けていない歌手が、ミックスボイスで歌える筈がない」と言いたいようですが、この世には、生まれながらにミックスボイスの人だって存在します。



これが俗に言う「天然ミックス」ってヤツです。
そこで今回は第二弾として、ミックスボイスについて2人のメジャーアーティストが語っている動画を紹介させて頂きます。
この記事を読んだ貴方は、きっとミックスボイスを習得する意義が理解できると思います。
ミックスボイスを語るEXILE ATSUSHI
まず最初に紹介するのは、EXILEのATSUSHIです!
彼の公式YouTubeでファンからの「ミックスボイスの出し方は?」という質問に対して、実演を交えて解説してくれています。
(※2023年11月6日追記)
但し注意点としては、ミックスボイスの科学的な定義としては、ミックスレジスタという声帯振動パターンである、という点です。


このミックスレジスタですが、言い換えれば、地声(音声学的にはモーダル)、裏声(音声学的にはファルセット)の間に存在する、「ミックス」という声区であるともいえます。







ATSUSHIはESPの専門学校出身ですので、そこでミックスボイスを学んだのかもしれませんね。


さらに【最後の雨 / 中西保志】を歌いながら、「(男女の別れで心が)苦しい曲なのにヘッドボイスだと綺麗に成りすぎて苦しさが表現できない。」と続けます。
(ミックスボイスだとヘッドボイスより声に厚みがあるので)「苦しい!っていうの(感情)が出る」という旨の解説をしています。



流石は歌手の中でも表現力に長けた一流アーティストのATSUSHIです、説得力がありますね!







ミックスボイスだと本当に表現力が増すのです。



是非、私の実演ショート動画もご覧ください。
ミックスボイスを語るオーイシマサヨシ
さて、次に紹介するのは、超実力派アニソン歌手のオーイシマサヨシです!
彼はラジオで度々、ミックスボイスについて語っている(発声の実演も有)ことで非常に有名です。
オーイシマサヨシは「地声と裏声をミックスしたものがミックスボイスという歌唱方法」であり、「裏声を地声っぽく出すのがミックスボイス」であると解説しています。
(※2023年11月6日追記)
このオーイシの定義に関しては、もしかしたらオーイシマサヨシ独自の見解であり、決して科学的な声帯振動パターン・声区としての言及とは言えなかったかもしれません。
※この記事を執筆した「2023年6月19日時点」においては、このオーイシの発言「地声と裏声をミックスしたものがミックスボイスという歌唱方法」という部分を、私は「地声と裏声の間の声区」を指していると解釈。
そして、「裏声を地声っぽく出すのがミックスボイス」という部分を、「ミックスレジスタ」だと解釈してこの記事を執筆したのですが、この2点に関しては、私の「過大解釈」だったかもしれないと、今になって反省しております。
「にだいめも歌いましょう」ブログの夏夫ハチさんに指摘され、改めて自身で読み返してみて、確かにこれらが「本来のミックスボイスを指しているとは限らない」なと、こちらに関しては反省した次第です。



この点に関しては、申し訳ありません。
よって、そこをご理解した上で、ここから先は読み進めて頂きますよう、お願い申し上げます。


オーイシは名指しで「Official髭男dism 藤原君はミックスボイスの新人類」だと語っていることから、よほどヒゲダンの実力を買っているのでしょうね。



因みにオーイシ自身はミックスボイスでも歌えるものの、基本は使わないと公言しています。



私がオーイシマサヨシの発声を分類するなら、ミックスボイスよりパワフルな発声のベルティングです。



それこそ彼がベルティングで歌ったヒゲダンのカバーは圧巻です。


ハードロックは地声ハイトーン?
https://kissmusic.net/one/mixvoice/
オーイシマサヨシは「ミックスボイスとは古くはハードロックの象徴だった」とも語っており、KISS MUSIC 平山氏の「ハードロックは地声ハイトーン」発言を真っ向から否定しています。



ディープ・パープルのハイトーンが地声だなんて言い張る人は、発声のアセスメント能力が著しく欠落しており、歌の指導者失格なんじゃ…



百歩譲って、地声でハイトーンが出せるとしても(事実、出せる人もいます)、声帯ポリープ等のリスクは考えないのでしょうか?
まとめ
世の中には、「メジャーアーティストがミックスボイスで歌っているという主張はナンセンス」等と、豪語するヤバい輩がいます。
他人と違う主張をすることで注目を浴び、アクセスを集める、いわゆる炎上商法に走ったのでしょう。
ATSUSHIにしても、オーイシマサヨシにしても、「ミックスボイスは地声と裏声の間、地声と裏声をミックスしたもの」と解説しており、実際にポップス歌手が使用していることを語っています。
ネット上で「ミックスボイスで歌う歌手など存在しない」と豪語する元プロデューサーの意見と、歌手としてメジャーの第一線でバリバリ活躍している一流シンガーたちの意見。
あなたは、どちらの意見を信用しますか?